2023.01.13「ORCALAND presents 十二ヶ月連続企画 “ジントリ”「第一章近松城攻防戦」」LIVE REPORT

2023年2月4日
MUSIC

この1年で下北を平定してみせる、ORCALANDでござる！

1月13日、下北沢近松にて『ORCALAND presents 十二ヶ月連続企画 “ジントリ”「第一章近松城攻防戦」』が行われた。

2023年、下北沢にて連続企画を予定しているORCALAND。陣取り合戦に見立てた企画の第一弾は、「近松城」を舞台にした藍色アポロとの決戦だ。どちらも下北沢を結成地に掲げ、No Big Deal Recordsに所属する仲間でもあるという藍色アポロとORCALAND。この日はそんな共通点に加え、互いの楽曲をカバーし合うセットリストや、日本語詞の良さを引き立てるボーカル、前向きなサウンドという音楽面での共通点も相まって、終始温かくフレンドリーな雰囲気が漂う公演となっていた。

藍色アポロのステージで温まった会場に「あけましておめでとうございます！」と旗を掲げながら登場したORCALAND。「ORCALAND、出陣じゃ～！近松城へようこそ！」と”ボーイミーツガール”を演奏し歓迎を示すと、手を差し伸べるような大塚の歌声の温かさ、バンドサウンドの力強さに会場は温度を上昇させる。キャッチーなメロディと疾走感が心地いい”Goodbye’20”へと続くと、こーてぃんの奏でるドラムを中心に生み出されるリズムの波がオーディエンスの身体を揺らす。続く”Wake up”に向けてボーカルの熱も高まっていき、おとやんの弾く動きのあるベースフレーズや村田によるギターの音色も感情の昂りを形作っていく。

「この1年で下北を平定してみせる、ORCALANDでござる！」と戦国武将風の挨拶をしたこーてぃんは同じ口調でメンバーを紹介し、笑いを誘いながらオーディエンスを本企画の世界観に引き込んでいく。コンセプトに忠実なMCや、それが作り上げる親近感のある雰囲気は演奏とのギャップもあり、非常に心地いい空間を作り上げていた。大塚の「徹底抗戦の歌を！」との言葉から”Journey”に続くと、12か月続く決戦に向けての高揚感を響かせる。”撫子”で会場を落ち着かせたあとには、「まだ踊れるよね！」と”ダンシングゾンビの決意”へ。緩急のあるセットリストと前向きなメロディで、会場を温かく彩っていた。

丁寧に言葉を伝えるように歌い上げた”最近のこと”のあとには、「この日、この場所を選んで集まってくれてありがとう」と大塚。「この企画以外にも、いつでもいろんなライブハウスにいるので遊びに来てください」と続ける。そののちに演奏した”タイムトラベラー”は明るい希望に満ちており、「飲み足りないでしょ、もう一杯飲める曲を作りました」と茶目っ気のあるMCから”終電もうすぐだから一杯飲んだら行くわ”に続くまで、パワフルな演奏と陽気な音楽が会場を包み込む。本編最後には藍色アポロもカバーしていた”やってらんねえ”を披露し、熱狂のうちに幕を閉じた。

アンコールでは、Twitter上で行われた前哨戦にて敗北したORCALANDが藍色アポロに向けて制作したオリジナル曲、”藍色へ”を披露。続けて藍色アポロの楽曲”カゲロウ37℃”をカバーするという、この日ならではの一幕も。先述したように、藍色アポロもORCALANDも日本語の歌詞が映えるような骨太なボーカルが魅力。互いに楽曲をカバーした際も曲の魅力が失われぬまま、違ったニュアンスで聞くことができた。そして最後の楽曲”反省している”へ。右肩上がりのパワーを炸裂させ、ほとばしる演奏で会場に余韻を残した。

本公演を以て12か月連続企画の幕開けを果たしたORCALAND。こだわった演出や対バン相手との距離の縮め方など、「ジントリ」のキャッチーさと彼らの気さくさが混ざりあい、親近感のあるイベントとなっていた。今後ORCALANDが連続企画を進めていく中でどんな成長を遂げ、それぞれの会場、バンドとどんな化学反応を起こしながら下北沢を平定していくのか、楽しみでならない。

PROFILE

[L→R]村田京哉(Gt), こーてぃん(Dr), 大塚祥輝(Vo&Gt), おとやん(Ba)

東京下北沢で結成の4人組バンド。
耳に残る歌詞と一度見たら忘れられない情熱的なライブパフォーマンスを武器に知名度を上げている。
特に下北沢で行われるサーキットイベントでは毎回入場規制になる等、今下北沢で最も注目されているバンドの筆頭。
昨年から今年にかけて行われた『No Big Deal Records 10th Anniversary Audition』でグランプリを獲得。
ORCALANDが放つ真っすぐなメッセージは、「明日への希望」を与えてくれるだろう。