オルブラジオ 見当はずれの徒花しゃべり〜出張版〜vol.1

「モクレン」

令和五年三月下旬、大きく膨らんだ蕾をつけた近所の桜並木が待ちわびていたかのように開花した頃、日本から遠く離れた異国の地で侍ジャパンがWBCで優勝した。

学生時代はサッカー部で野球には全く食指が動かないタイプであった私が、今回のWBCは試合時間の最初から最後までとはいかずとも全試合を観ている。何かきっかけがあったというわけではない。テレビを点けたらたまたま試合をしていただけだ。もちろん何日も前からニュースなどで大々的に特集が組まれていたことは要因かもしれないが、これまで興味のなかった野球というスポーツを初めてしっかりと観戦し、素直に面白いと感じた。

野球はサッカーなどの他の球技と違い、試合の展開がそれほど流動的ではない。攻守が入れ替わり、投手が球を投げる、打者が球を打つということの一つ一つが見所として区切られている。大谷選手の打順が回ってくる、佐々木選手が先発で登板する、というようにここは見所である、という箇所があらかじめ予測できるのだ。なぜ野球が日本の国民的スポーツと呼ばれるほどの人気になったのか?その所以はここにある気がする。観戦する上で非常に観やすいスポーツなのだ。これは盲点だった。なんと〝ながら見観戦〟がしやすいことか。これは私のようなミーハーファンにとってはたまらない利点だ。もっと言えば、ルールに詳しくなかったとしてもそこそこ楽しめてしまう。攻撃の場面では球を遠くに打ち返せばすごい!守備の場面では打たせなければすごい!サッカー観戦初心者が最初につまずくであろうオフサイドのような面倒なルールがない。その意味で、サッカーというスポーツはある程度ルールの理解やボールと直接絡んでいない選手の動きなどを同時に俯瞰的に見る慣れが必要に感じる。

点の取り方においてもホームランや満塁など、状況によって複数点を得られるルールがあることでゲームの展開にしっかりと起伏が生まれる。準決勝のメキシコ戦はほんとうにアツかった…!

元来の性分で、私はあまりこういった国際的なイベントに興味が湧かない人間だ。それどころか、ここぞとばかりに集まっては騒ぎたてる連中を忌避する質だ。いまでもそれは変わらないが、恥ずかしながらこの質のせいで損していたことがあると気づくことも多い。

毎年、新鮮な気持ちで綺麗だと思う桜の並木道を歩いていると大きな白い花を咲かせているモクレンを見つけた。もう何年もここで生活をし、ここを歩いていたはずだが、これまで気付くことができなかった。年々、いろいろなことに好奇心を刺激されるようになり、興味の対象が増えている。これまでは素通りしていたものにふと立ち止まるようになってきた。
 この六ヶ月の連載が誰かにとって、桜並木に隠れてひっそりと咲くあのモクレンの花のようになれたら幸いだ。

OLD BROWN OWL 岩崎弘


OLD BROWN OWL

Vo Gt岩崎弘(イワサキ ヒロシ)
Gt 衣袋航平(イタイ コウヘイ)
Ba 三戸部光(ミトベ ヒカル)
サポート Dr 小林弥央(コバヤシ ミオ)

Live schedule

7/14(金)下北沢CLUB251
配信Single『マッシュルームプラネット』RELEASE LIVE

【Act】 Pororoca BACKDAV Laugh giraffe!! アマアシ and more…
Op/St 18:00/18:30
【Ticket】 Adv¥2,500 Door ¥3,000


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