“440 presents uchuu in the four forty”の仲間たち。今、この時、この季節を思いのまま綴ってくれます。
「おしまい」の季節
かつて二月は、新年の慌ただしさと、新しい風を呼び込む三月に挟まれただけの季節に過ぎな かった。春はもうそこまできているのに、いつまでも寒さを引きずっていてそれがもどかしくも感 じていた。それがいつしか、三月や四月の『出会い』や『別れ』の象徴でもない、宙ぶらりんに 感じていた季節に、私は特別な感情を抱いていた。 私はバレンタインデーの日に長くお付き合いをしていた女性と別れた。それは私にとっての初 恋であった。ゆえにこの初めての経験は、自分が見ている世界に大きな変化を与えた。私は孤独 だった。今まで培ってきたこと全てが、枯れ葉の如く意味をなくした。街を賑やかにするイルミ ネーションや恋人達の声が酷く遠い世界のもののように感じた。しかしそれと同時に、今まで感 じたことのない寂しさを感じた。寂しさを感じたことで、今まで目に止まらなかった情景に目が 入った。葉を落として寂しく佇む木々に愛らしさを感じていた。凛とすんだ空とのグラデーショ ンに侘び寂びを感じていた。それらは大きな目でみた時の「おしまい」を彷彿とさせる。春夏秋 冬を通して対面する様々な瞬間、そしてその中で育まれる経験に読点をつけるかの如く二月は訪
れる。そう行った気づきが己の心情と重なることで生まれたのであった。それはとても刹那的な ものであり、美しいものである。図らずとも、私の初恋は「おしまい」を迎える子ができたので ある。くだらない独りよがりのようにも感じるが。 「おしまい」はこれまでの過去と、これからの「はじまり」をつなぐ架け橋だ。これから世の 中はどう変わっていくだろう。私自身はどう生きていくんだろう。近年時間が過ぎるのが特に早 く感じているのは、筆者に限らず、恐らく誰もがそうだろう。幸せも哀しみも、消化できぬまま 目まぐるしく時が過ぎていく。だからこそ「おしまい」の存在は特別な意味を持ってくる。歳を重 ねるごとにその実感は確かなものになっていく気がしている。期待と不安を孕んだ種子から芽を 出すように、ひっそりと未来に向かっていく己自身と向き合うための時間だけがもつ意味がある と思われる。
・小松夏恋
・玉手初美
・宮野かえで
・PHOEBE
・小林義裕
・スズキケント
・中村周
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2023年2月6日(火)
“440 presents uchuu in the four forty”
出演:スズキケント/PHOEBE/三輪風太/兎角舞う/BamBook
TICKET:Livepocket
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