「3月」“440 presents uchuu in the four forty”の仲間たち。今、この時、この季節を思いのまま綴ってくれます。

“440 presents uchuu in the four forty”の仲間たち。今、この時、この季節を思いのまま綴ってくれます。

「春」の訪れ

宇宙さま

三寒四温。音の響きがとても素敵な四字熟語だと思っています。さん、かん、し、おん。口にすると心地が良いのです。私には、どういう意味なのかということよりも、とにかく言いたくなる、そんな言葉はいくつかあります。そのうちの一つが、三寒四温なのです。

さて、ここ地球、日本の東京ではまさしく三寒四温な日々が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。2月には雪も降り、まるでマシュマロとソーダ水のような世界になりました。私は寒いのがそれはとても嫌いですので、外に出ることはありませんでしたが、窓からそれを眺めておりました。そして雪もやみ、すっかり暖かな日差しが顔を見せた時に、山の方へ散歩に出かけました。山の方だったからか、雪の塊がずっしりと腰を据えており、見るだけで寒々としていましたが、そうした雪解けを見ていますと「春」という言葉が頭の中に柔らかく降りてきました。どうやら、冬の寒さは「春」とつながっているようです。宇宙に「春」はございますか。寒くて辛くて、耐え難いものを乗り越えた次に来るもののことです。きっとあるのでしょう、今度教えてくださいね。

昨日、あなたが流してくれた星のかけらは、たいそう輝いて、私には眩しすぎるほどでした。きっと口に入れると、ほろっととろけて美味しいのでしょうが、なんだか勿体無いような気がしたので、部屋に転がっていた小瓶に詰めて、陽のあたる窓辺に飾っています。この煌めきはあと２日も持たないでしょう。その前に、いつものように手紙を届けねばと、いそいそ筆を進めています。
また、珈琲を片手にお話ししたいものです。
では、お元気で。

私より

こうして私は、手紙を丁寧に折り、手紙を持ったままベランダに出ました。夜もふけ、そこには満天の星空が広がっていました。私は慣れない手つきでライターを回し、火を起こすと、その手紙に火をうつしました。炎は酸素をたっぷりと吸い込んで、大きくふくよかに燃え上がると、そのまま空へと消えてゆきました。消える炎を眺めながら「さん、かん、し、おん」と呟くと、それは口当たりの良いまろやかなホットミルクの味になりました。こうして、星の煌めきは無くなったのでした。