「7月」“440 presents uchuu in the four forty”の仲間たち。今、この時、この季節を思いのまま綴ってくれます。

“440 presents uchuu in the four forty”の仲間たち。今、この時、この季節を思いのまま綴ってくれます。

雨が上がると現れる街

『雨が上がると現れる街、があることをご存知だろうか。雨が降っている時には見えない、晴れた日にも見えない、「雨が上がると現れる街」。

私はその街を、一度だけ見たことがある。

その日は前が見えないほど雨が降り注ぎ、窓の外では、バケツをひっくり返したように水が降っていた。
小1時間ほど降り続いただろうか、ふと異変を感じて顔を上げると、雨音がしないことを知る。
不思議な好奇心に襲われて、窓を開けて空を見上げた。
すると、そこにあったのだ!そして、たしかに、私は、この目で見たのだ、「雨が上がると現れる街」の姿を…!』

ふーん、と鼻を鳴らして新聞を閉じた。
フィクションでファンタジー、面白い話だけれど、これを地元のニュース欄に載せるのはどうなのか?小説コーナーから飛び出てきてしまったのだろうか?

でも、「雨が上がると現れる街」って、なんだか面白そうだ。虹の上にでもあるのか?もしかすると、虹を橋にして、街に行けるのかもしれない!そんなことを想像していたら、あっという間にコンビニから帰宅していた。

その日の夜、膨らむ想像力が止まらぬ挙句、今日読んだ記事のこと、そして自分の虹の橋のイメージを娘に話してしまった。
予想した通り、娘からは「意味不明なことを言うな」という言葉を返された。「そんなの嘘っぱちに決まっている」ってね。

当たり前の反応を得たはずで、「嘘っぱち」という言葉が返ってくることは予想していたはずなのに、なぜか少しだけ胸が苦しい。

私はその記事を本当に読んだのだし、さらに読んだ記事からたくさんの想像をした。
これら全てを「嘘っぱち」という言葉で括られて、「嘘っぱち」という言葉が真実の力を持ち始めている。
悔しさではなく、苦しさが込み上げてくる。

すっかり夜もふけ、月が今にも喋り出しそうなくらい、圧迫した静寂を感じる。
気づけば、頭の中では「嘘の街」が流れていた。

「嘘が蔓延る街 誰も疑わない」
「言葉の重みが まったく違う 全部本当だと 信じ込む」
「あなたの言葉は 全て真実」
(嘘の街「殻の中の夢」/のざわゆめか)

チリンチリン…鈴の音が響き、夏の夜空にギターの音色と声のハーモニーが飛んでいった。それらは瞬く間に星となり、集まって、流れ星のかけらとして私の胸の中に戻ってきたのだった。

その時の自分には、数週間後のすっかり梅雨も明けたころ、突然の大雨にみまわれ、自分が虹の橋を渡ることになると、知る由もなかった。

宮野かえで

momostolen のGt.Vo.で、作詞作曲を行う。アコースティックでソロ活動もしている。活動拠点は東京。

https://www.instagram.com/miyanokaede.momo
https://twitter.com/miyano_kaede

【NEWS】

momostolen のライブが、7/25(木)に下北沢ERAであります!
かっこいい音楽をしています。

OPEN/START 18:00/18:30
前売/当日 ¥2200/¥2700(+1D¥600)
ご予約
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玉手初美
宮野かえで
小林義裕
長谷川拓実

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2024年7月2日(火)
440 presents uchuu in the four forty

出演:タナカノコハル/杏結/鯉沼寿帆/KeNN
TICKET:Livepocket

2024年7月22日(月)
440 presents uchuu in the four forty

出演:夏未/中澤ウルハ/坂元翔太/にんじん苦手
TICKET:Livepocket

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