12月10日、13.3gが『celebrity crush』を下北沢CLUB251にて開催した。
2021年に大阪で結成し、今年の4月より東京での連続企画を隔月で行ってきた13.3g。彼らのキャリアの中で初のワンマンライブとなった本公演は、2022年の集大成のようなライブとなった。
「Smoky」でスタートした本公演。藤丸将太の甘い歌声に、藤原聖樹のベース、輪田拓馬によるドラミングが力強く絡みながら楽曲を引っ張っていく。結成から約1年半だという13.3g、特にこの1年はアコースティックライブの経験なども含めバンドとしての結束力を高めてきた彼らだが、そこで培った一体感が演奏からも感じられる。歌謡曲をルーツに持つ藤丸による歌詞を大事に伝えるような歌唱、ラウドでありながらボーカルを引き立てるようなバランス感のリズム隊、メロウな音色を自在に操る奥野”ロビン”領太によるギター。ルーツの異なる彼らの長所をかけ合わせながら演奏を形作っていく。「MONSTER」では「盛り上がっていけますか!」と藤丸が率先して煽っていたのも印象的。13.3gとしての活動歴とステージ歴が同じ藤丸もすっかりフロントマンとしての存在感を放ち、力強くも軽快な演奏を聞かせた。
藤原による挨拶を挟み、ポップな「too much」へ。「キライダー」に突入すると、メンバーのコーラスとともにパワフルな印象を作り出す。藤丸の声色とともにギターの音色も大きく変化した「嘘つき」では景色を変え、切なげなニュアンスも混ぜていく。
「東京楽しんでますか!メンバーも楽しんでますか」とMCにて藤原が呼びかけると、4人は口々に今年1年を振り返り始める。「濃い1年だった」という藤丸に続き、藤原は東京で初めて出演したライブハウスで、結成して1年半にしてワンマンライブを行える喜びを口にした。
続いて「ララルラ」ではキーボードのきらびやかな音色とともに揺蕩うように歌い上げ、曲後半に向けて壮大な抑揚をつけていく。そして太いギターの音色に導かれるようにして「カメレオンシンドローム」へ。優しい音色に乗せて歌うAメロ、Bメロに続き、サビに突入するとビートに身を任せるようにして朗々と歌い上げる。リズミックなドラムと動きのあるベースが率いた「恋愛進化論」では、中毒性のあるコミカルなギターリフとともに歌い上げた。
今年何度もCLUB251に出演した彼らは、下北沢での思い出も増えた様子。「近くのピザ屋やクレープ屋に行って、”メンバーの中で彼氏にするなら誰がいい?”っていうしょうもない話もしたよね」と奥野が語るなど、思い出や下北沢の魅力について和気あいあいと語ると、ライブも後半へ。
懐かしさのあるメロディにパワフルな音色を乗せた「アンコウ」ののちには「ここで新曲やってもいいですか!」との藤丸の宣言に続き「body song」へ。オーディエンスもクラップで盛り上がる中、ポップな歌声と力強いバンドサウンドが混ざりあう。そして「今日一の盛り上がり見せてくれるか!」との煽りとともに「Inside Out」を披露し、会場を華やかな空気に包み込んだ。
「4月から始まった企画もあって、2022年、13.3gはこの素晴らしい会場で1年を走り切れました。気付いたら輪がどんどん大きくなって、本当に音楽やっててよかったなと思います。出会いをくれてありがとうございました。最後まで音楽をみなさんに届けたいなと思います」と藤丸による感謝の言葉を挟み、本編最後の曲「ベイビーブルー」へ。ドラムの力強さは高ぶる感情を感じさせ、メロディアスなギターもしっとりとした楽曲に切実さを加える。チームワークを感じさせる演奏で堂々とステージを終えた。
アンコールにて再び姿を現した彼らは、「HERO」を演奏。この日持つパワーをすべて出し切るように演奏する。〈地球の平和は無理だけど君の平和は守る〉という歌詞は、彼らの決意を投影するように、この日一番の力強さで繰り出された。
演奏後、フルアルバムのリリースがあることを知らせた13.3g。暖かくなる前にはリリースされるというアルバムを楽しみに待ちながら、これからの彼らがどんな快進撃を見せるのか、今後も見守っていきたい。
<Written by 村上麗奈/Photo by ヤマグチレナ(@FrolicRobe)>
LIVE SCHEDULE
ONE-MAN LIVE “celebrity crush”
2023年2月11日(土) 大阪•心斎橋VARON
開場18:00/開演18:30 前売¥3000+D/当日¥3800+D
●チケット
13.3gライブ会場(10/9〜)
東京e+(11/1〜) 大阪e+(12/1〜)