オルブラジオ 見当はずれの徒花しゃべり〜出張版〜vol.2

「誇張論」

ザコシが好きだ。

説明せずとも知らない人はあまりいないと思うが、芸能人の誇張モノマネで一世を風靡している(?)日本が誇る芸人、ハリウッドザコシショウのことである。テンガロンハットにショートタイツを穿いたプロレスラー風の男が似ても似つかないモノマネを全身全霊で披露する。初めて見た時にはその異常性に度肝を抜かれた。そもそも〝ハンマーカンマー〟などと古畑任三郎は言っていないし、〝ゴース〟と地上波で叫んでいる姿を見ると正気とは思えない。今となっては知る由もないが田村正和さんはどう感じていらっしゃったのだろう。天国でめちゃくちゃにキレ散らかしていたとしても納得できる。(断っておくがハリウッドザコシショウ自身は田村正和さんに多大なリスペクトを持っていることをはっきりと各所で名言している。)

だが、なんど彼のネタで腹を抱えて笑っただろうか。

誇張表現ということで言えば同じ芸人にモノマネ王者のコロッケさんがいる。彼もまた〝モノマネ〟という表現を突き詰めた結果、誇張という境地に至っているひとりだろう。似ていることが素晴らしいとされる土俵に立ちながら似すぎて似ていない、似ていないのに似すぎているという奇妙な彼の芸にはとてつもなく惹かれるものがある。

ここで芸人の話がしたいわけではなく、あくまでも〝誇張〟という表現に注目したい。(ちなみに今回の話とは全く関係ないが岩崎はザコシの〝珍棒〟ネタがとても好きだ。自己責任で検索してみて欲しい。)

なぜ誇張表現に惹かれるのだろう?私が考える答えはこうだ。

その対象にしか持ちえない性質を誰もが認識できるレベルまで濃くして表現に映しだすからだろう。それは共通認識によって共感を呼ぶ、所謂〝あるある〟ではないかと思うかもしれないがここでは明確に区別したい。なにによって区別されるか?

それはおそらく正解の有無だ。共感を楽しむ〝あるある〟は多くの人が一般的に対象をどのように認識しているかが大事になる。〝答え〟を知っているから共感し、面白いと思える。しかし〝誇張〟の場合はその〝答え〟に訴求しない。表現者が、対象に捉えた独自の性質を〝自分の解釈〟で拡大するため、他者からの共感、つまり正解しているかどうかはあまり重要ではないのだ。

私は意味もなくステージ上でベイベ!と叫んだり、ほんとに言葉を伝える気があるのか?という歌唱をするバンドマンが好きだ。私自身も、もっと歌詞を分かりやすく、だとかもっと普通に歌って、とよく言われる。(ここで求められる〝わかりやすさ〟についても言いたいことがあるのだがここでは割愛する。)彼らは言葉を蔑ろにしているのだろうか?おそらく違う。表現のひとつとしてクセなどを加味し〝自ら〟を誇張しているのだ。

観光地や商業施設などによくある即興で似顔絵を描いてくれるサービスでも、客の特徴を捉えわざと誇張した描き方をするのを見かける。本人と似ているわけではないのに本人だと分かるように描くのだ。誇張という表現には何か人の心を掴む仕組みがあるのだろう。

われわれが日頃からしている作曲という行為もまた誇張の一種のように思う。創作者の中に芽吹いた小さな想いや感情、理想などをより大きく膨らませ作品という形で結実させる。

世界的有名画家サルバドールダリ、彼は生前こんな言葉を残している。

『世間が決して飽きない唯一のものは〝誇張〟である』と。

私もまたそう思うのだ。

OLD BROWN OWL 岩崎弘


OLD BROWN OWL

Vo Gt岩崎弘(イワサキ ヒロシ)
Gt 衣袋航平(イタイ コウヘイ)
Ba 三戸部光(ミトベ ヒカル)
サポート Dr 小林弥央(コバヤシ ミオ)

Live schedule

7/14(金)下北沢CLUB251
配信Single『マッシュルームプラネット』RELEASE LIVE

【Act】 Pororoca BACKDAV Laugh giraffe!! アマアシ and more…
Op/St 18:00/18:30
【Ticket】 Adv¥2,500 Door ¥3,000


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