2023.6.12「SOG presents」LIVE REPORT

2023年6月19日
MUSIC
after20時, OLD BROWN OWL, さめざめwithバナナとドーナッツ, ナキソラ, マチカドラマ

梅雨入りの湿った空気の中、CLUB251にて開催された「SOG presents　さめざめwithバナナとドーナッツ／マチカドラマ／OLD BROWN OWL／ナキソラ／after20時」は、力強くも美しい夜になった。

まず一番手には４人組ギターロックバンド「OLD BROWN OWL」。メンバーのクラップ誘導で楽しげな雰囲気で始まった一曲目は「マッシュルームプラネット」。力強いボーカルとバスドラムに合わせたツインギターが跳ねるように勢いよく進行していく。ギターロックの中に詰め込まれたメッセージ性のある歌詞と、怪しげかつ独特な雰囲気の中、メロディアスな音の流れがあった。

「トップバッターとして、開幕めちゃめちゃ盛り上げていくんで、よろしく！」と威勢良いMCのままに「Beautiful rumor」軽快なギターリフと共に、トップバッターに相応しくオーディエンスを盛り上げていく。来月7/14には同場所C LUB251でレコ発企画を開催予定だ。

二番手には新潟の３ピースバンド「マチカドラマ」。まず観客を引き込むように一曲目、「愛してみせるよ」を演奏。MCでは下北沢にある不思議なカレー屋さんの話で場を和ませ、柔らかい雰囲気のまま次曲へ。三拍子を含んだ変則的な「首輪」は掻き鳴らされるギターが小気味よく、ボーカルの声の通りが際立つ一曲だ。優しい雰囲気の中、バンドメンバーの変動について言及する場面も。「何とか動きを止めずに活動をすることができています。」と音楽活動を続けていく上での難しさとこれからの希望を滲ませつつ、みんなの1日が最高になるように！とポジティブな言葉を告げ、次曲「最高な今日に」では、観客一人一人へ語りかけるように感情一杯に歌い上げた。

2020年より５人で活動を続ける「さめざめwithバナナとドーナッツ」だが、今年はこれが2回目のバンド編成ライブ。オーディエンスの視線にも今日一番の熱が感じられた。シャウトにも近いボーカルの歌と叫び、一方でキーボードを含む４人がさらに演奏で沸き立てる。感情の激しい楽曲とは一転、MCでは「丁度さめざめ日和の雨の中、ご来場いただきありがとうございます！」（さめざめ＝声を押し殺して、すすり泣く）と明るく可愛らしい一面を見せた。

次曲「26.5cm」では、涙声に近い悲痛ながらも切ないキーボードに歌声をのせて、大人の女たちの中にある少女のような雰囲気に。「きみが死ぬとき思い出す女の子になりたい」はMV公開から昨年TikTokで”バスった”ことにより100万回を越え現在も再生回数を重ねているという。ファンシーなメロディに嫌味のない声高かつ可愛らしいボーカルがフロアを満たしていった。

東京都を中心に活動する4人組ロックバンド「ナキソラ」は、エネルギッシュなギターから疾走感のあるベースラインで新曲を演奏。続くMCでは活動一周年とのことでフロアから温かい拍手が溢れた。「日頃、感謝を伝えていますか？」「皆んなに支えてもらっています。」と観客に諭し語りかける一面も。次曲では少しハスキーな歌声でしっとりと歌い上げ、夏の静けさも焦燥感も感じさせた。

「明日へ」では声量の緩急で一気に引き込んでいく。ラストの曲「家路」ではドラムとギター、ベースがボーカルを挟み楽しげに音を感じ跳ねるステージングに”音楽を真っ直ぐ楽しむ姿勢”を感じ、その熱さに少し羨ましささえ覚えた。

揃いのチャイナシャツで「中華街」という曲からスタートした「after20時」は今回が活動２回目のライブという新バンド。だが不思議な世界観と歌の説得力があった。力強く勝つ優しい歌声と繊細につけられた抑揚に、祭り囃子のようなドラムのリズムが心地よい。MCでは「今日は長丁場だったので、気にならなければ床に座っても良いですよ」「お酒をたらふく頼んでいただいて！」とユーモアたっぷりにお客様声掛けする場面も。その優しく和やかな雰囲気で、シームレスに演奏へ移行していく。続く「大人になったよ」では、タイトル通り大人びた歌詞だが、全体的に少し背伸びをしたような内容。軽やかなギターに合わせ、挑戦的なリズム感のベースが刻まれた。そのベースの弾き方が多種多様で、見ているだけでも面白い。オレンジ色の照明に照らされた３人と合わせて浮かんだのは、ノスタルジックな日本の風景だった。最後は新曲「目が覚める前に」では、三者三様の自由で素敵な音遊びに目が離せなくなってしまった。今後の音楽活動に期待を込めて、注目していきたいバンドの一つとなった。