[PREDAWN] 2022年注目バンド、チョーキューメイ その出会いと制作に迫る

4人組バンド、チョーキューメイが8月24日にデジタルシングル『燃え尽きろ君の命/溶けた魔法』をリリースした。2022年だけでもMBSドラマ特区『あせとせっけん』オープニング主題歌や真夜中ドラマ『イケメン共よ メシを喰え』の主題歌への抜擢、7月に行われたワンマンライブはソールドアウトなど、勢いのある活動を繰り広げている彼ら。バイオリンやピアノを取り入れたどこか幻想的なサウンドを奏でる彼らの出会いや直近の活躍について、メンバーの4人に話を訊いた。

――まずは音楽を始めたきっかけを教えてください。

麗(Vo/Gt/Vn):曲を作り始めたのは高校生のとき、軽音楽部に入部してからです。バイオリンは小学生のときに、母親が習っていたのを見て習いたいと思って始めました。

――好きな音楽というと、どのあたりなんですか?

麗:バラバラなんですけど、ボカロとかを結構聴いて育ってきた感じはあります。でも最近はいいと思ったものはなんでもいいと思っているので、あんまりジャンルにとらわれる感じじゃないかもしれないですね。

――空閑さんは、音楽をはじめたきっかけというと?

空閑興一郎(Dr):小学校の頃、姉が和太鼓を始めて。面白そうと思ってついて行って、自分も和太鼓を始めたのが小学5年生くらいですかね。中学は部活に絶対に入らないといけない学校だったので吹奏楽部に入部したんですけど、楽器決めのときに「太鼓やってたので絶対パーカッションがいいです」って言っちゃったんですよ。今となっては他の楽器にしておけば良かったって思うんですけど。始めたきっかけはそこからですね。音楽のルーツ的なもので言うと、これはルーツになるかは分かんないんですけど、父親が昔から持っていたCD……その中で覚えているのはサイモン&ガーファンクルがあったことくらいなんですけど、それと忌野清志郎のライブカセットがあって。それをずっと聴いていました。

れんぴ(Key):自分の場合は、元々姉がピアノをやっていて。小5くらいのときに僕が今まで習っていた習い事をやめたので、新しくピアノを始めました。父がギターを弾くんですけど、小さいころから父が好きなフュージョンとかが家でずっと流れていたので、フュージョンとかR&Bに結構強く引っ張られている感じはしますね。

――藤井さんはいかがですか?

藤井ごん(Ba):ベースを始めたのは高校で軽音楽部に入ってからですね。それまで楽器に触ったことがなくて。しかも結構最初はベースじゃなくてギターだったんですよ。

麗:藤井さんとは同じ高校の軽音楽部に入ったんです。そこは部活が強くて、オリジナル曲を作ろうみたいな感じの学校で。そのときからバンドは一緒でした。入学してすぐバンドを組むときにベースがいなかったので、ギター志望の藤井さんに「ベースにしてもらってもいいですか」って頼んだっていうのがきっかけですね。

――チョーキューメイの結成の経緯はどんな流れだったんですか?

麗:私が高校卒業してバンドを組みたいと思って、専門学校に入る前にメンバーを自力で集めようと思ってそれぞれ誘いました。ベースは元々別の子だったんですけど、その子は友達だったのと、れんぴは高校のとき部活外で活動していたバンドが一緒だったので知っていて。空閑さんは、私が下北沢DaisyBarに弾き語りで出演したときにお世話になったブッカーさんに「バンドしたいんですけどいい人いませんか」って聞いたら空閑さんを紹介していただけたっていう感じです。

――麗さんからみて、みなさんの第一印象っていかがでした?

麗:ごんさんは高校のときから一緒にいて、入部当初、急にベースにしてって言ったにも関わらず「へたくそだから練習しろ」ってめちゃくちゃ言ってたなっていう。(笑) れんぴさんは部活外のバンドで一緒に活動したときに、陽気なお兄さんみたいなイメージがあって。最初にやってたバンドの方向性がちょっと違ったっていうのもあって、れんぴらしいフレーズみたいなのを聴かないままそのバンドはやめちゃったんですけど、そのときの印象としては嫌いじゃないなっていう感じですね。(笑) 空閑さんは紹介してもらったときにサポートしているバンドのライブを観に行ったんですけど、最初は人とコミュニケーション取るの苦手そうっていう印象がありまして。(笑) そのライブが終わった後に、「演奏を拝見しました。羊好きですか」って聞いたんですよ。なんか髪の毛が白かったから、羊とか白いものが好きなのかなと思って。そうしたら「僕はそんな好きじゃないんですけど、お姉ちゃんが好きかもしれない」みたいなこと言って、「あ、コミュニケーションとるの下手な感じではなさそうだな」って。印象はそんな感じでした。

――強烈な初対面ですね。(笑) みなさんのメンバーそれぞれの第一印象っていかがでした?

空閑:麗さんが自分が当時サポートしていたバンドのライブに来てくれたんですけど、ブッカーさんに「紹介したい子がライブ見に来るからよろしくね」とだけ言われてて。それでいざステージ見てみたら、一番前にすごいパジャマの女の子と普通の格好した女の子が並んで立ってて、どっちかだけどパジャマの方だったら終わったなって思って。(笑) そしたらパジャマじゃない方が麗さんだったのでそこは安心だったんですけど、それこそ最初にいきなりわけわかんないこと聞かれて、不安だなって感じでした。

れんぴさんの印象は、これも結局麗さんがやばいっていう話になるんですけど、初めてチョーキューメイやりますってなってスタジオに集められて、全員ほどほどに自己紹介したタイミングで麗さんが席を外して、本当に初めましての人たちで取り残されたんですよ。そのときにどうしようってなったのがすごい印象的ですね。麗さんの印象が強すぎてあんまり覚えてないかもしれない。(笑)

ごんくんは途中から入ってきてくれて、それこそ麗さんが昔一緒にバンドやってた子だから全然大丈夫みたいに聞いていて。ごんくんのおっとりした性格なのもうっすら聞いてたんですけど、思ったよりでかくて顔濃い人が来たなっていうのが最初の印象でしたね。(笑) 

――れんぴさんはいかがですか?

れんぴ:麗は部活の外で組んでたバンドで最初に会ったときに、開口一番、俺の顔を見て「ああ、そういう感じね」って言って。それでこの子パワーあるなあって思った印象がすごい強いですね。

空閑さんは、最初にスタジオに集められたときスタジオのロビーみたいなところに集合したんですけど、誰がメンバーかもわからずスタジオに到着して、あの人メンバーかな、どうなんだろうなと不安になりながら空閑さんの顔を覗き込んだり覗き込まれたりしたのがめちゃくちゃ印象強いですね。あと最初から今もですけど、割といたずら好きなイメージがあります。ごんくんは高校生のときの部活の大会とかの映像で一方的に知ってたんですけど、変わってる奴が一匹増えたなっていうのが強い印象だったので、ごんくんは変な人です。

藤井:(笑) 麗の第一印象は、高校の軽音楽部のバンド決めのときに、なんか遠くにすごいオーラ出してる人がいるなって思ってたら、それが麗だったっていう。自分はこのバンドにあとから入ったんですけど、空閑さんに関しては、声聞くまで性別どっちだろうって思ったのが最初の印象でしたね。れんぴは愉快なお兄さんだなあっていう感じです。

新しいことをしても最終的にはうまくまとまるなっていうのを感じて。

――チョーキューメイの音楽には様々なジャンルの影響が感じられますが、音楽性についてこういうものを目指したいというのは決められていらっしゃるんですか?

麗:特にないです。基本的には自分が弾き語りで作った曲をみんなでスタジオに入ってアレンジしていく方法でやってるんですけど、大体その曲についてのイメージがあって、それを自分の納得いくようにできればいいと思っていて。なのでこういう音楽性にしたいとかはないですね。何々みたいにしたいってなると、何々よりすごくなれない気がして。自分は自分流を貫きたいというか、自分のやりたいことをやりたいなと思っているので。あとは自分がこれは絶対ありえんって思うアイデア以外は基本的にみんなのことを尊重しているつもりです。だから最終的にできあがったものがチョーキューメイの曲だなっていう感じになっていれば嬉しいです。

――自分たちの強みはどういうところだと感じますか?

空閑:ピアノは他の人にコピーしてと言ってお願いできるピアニスト中々見つからないんじゃないかみたいなこと弾いているので、ぱっと聴いたときにピアノが抜けてくる感じが強いんじゃないですかね。あと麗さんが作ってくる曲が、なんでそっちいっちゃうのみたいな構成が多かったり、突然の転調が出てきたり。まあ突然の転調は麗さんだけじゃなくて「ここで転調しよう」って突然言うれんぴさんも結構わるいんですけど。(笑) そういうのが多いので、ぱっと聞いたときの印象でフックを与えられるのがいいかなと思っています。

――今年はすでに『あせとせっけん』主題歌の「3月の花嫁」と『イケメン共よ メシを喰え』主題歌の「心を照らせ!」と2つのタイアップがありますが、タイアップとして楽曲を作ったり、自分たちの手を離れて多くの人に聴かれたりして思ったことはありますか?

れんぴ:素直にすごく嬉しいなと思います。結構タイトな制作で出さなくちゃいけないことが続いてたので、実際に使われている実感とかは未だにちょっと薄いんですけど、本当に嬉しい気持ちが強いなって感じです。

麗:タイアップにもいろんな形があると思うんですけど、初めてタイアップで書き下ろしをして、こういう風に作るんだなっていうひとつの形を知りましたね。自分1人だったら思いつかないだろうなっていう曲ができたので自分の可能性を知りました。物語に合わせて作ることは大変なんですけど、ひとつテーマがちゃんとあって、それに沿って作っていくっていう作業は自分が好きで作ってるのとまったく別の作業な気がしましたね。

藤井:今までは自分たちの為だけに頑張ってたのが、タイアップとかになると人様の為にというか、いつも以上に世に出回る可能性が高いから、いつもより、ここどうしようとかをいつもより考えたりしましたね。更にブラッシュアップしようっていう風に思ったかなと。

れんぴ:普段のチョーキューメイの感じとは違うものができあがってきてたので、どう普段の自分の感じを落とし込もうかなっていうのは結構考えましたね。割と勢い任せではあったんですけど、新しいことをしても最終的にはうまくまとまるなっていうのを感じて。なのでいろいろできることも増えたなっていう気持ちになりました。

「燃え尽きろ君の命」っていうフレーズがばっとでてきたっていう感じですね。

――最近は『燃え尽きろ君の命/溶けた魔法』が発売されたばかりですが、制作はテーマを決めてから始めることが多いんですか?

麗:いや、歌詞とメロディが同時に出てくるんですよ。それで歌詞の響きでいいやつを採用していって、最初に出てきた歌詞から広げていくみたいな。だからテーマは決めてないですね。後付けにしちゃうことが多いです。作ってるときは好きなもの詰め込んじゃえってなるんですけど、作ってる後半くらいから、「でも前にこういう歌詞書いてたからここはこうだな」みたいな、一貫性はあるようにしています。

――「燃え尽きろ君の命」はどういうとっかかりから制作したんですか?

麗:まずコード進行を決めましたね。SNSを見ていたらとある曲が印象に残って、コード進行を見てみたらこれをブリッジミュートみたいにしたらいいんじゃないかと思って。そこからコード進行を考えて、そこに「燃え尽きろ君の命」っていうフレーズがばっとでてきたっていう感じですね。

――楽器隊はシンプルですが、この中でもこだわったところを教えてください。

空閑:「燃え尽きろ君の命」に関してはおっしゃったように自分はなるべくシンプルに、ずっと8分が鳴り続けているようにしようって思って。最初のブリッジミュートの印象でそういう風に思いましたね。

藤井:私は結構めちゃくちゃタイトにやりました。

れんぴ:自分はほぼずっと同じアルペジオを弾き続けてるんですけど、最初にあのアルペジオを入れて、まあまあよさそうだなって思ったところから、このアルペジオどこで終わるんだろうって思って。そのまま勢いで全部やっちまえっていう感じですね。元々結構シンプルな曲だなっていう印象があったので、だったらそんなにいろんなことしなくてもこれだけで押しきれそうだなって思って。すごい力技なんですけど、アルペジオでゴリ押すぞっていう感じでした。

――「溶けた魔法」はリバーブが強めにかかっているのがまさに溶ける印象に合っていますね。

麗:ミックスしてくださった方にもそう伝えて。……あれ、どうだったっけ?

空閑:いや、言ってないんじゃない?多分曲から感じてくれたんだと思います。

麗:いつもお世話になっている方なんですけど。ラフミックスをもらったときに全体的にリバーブがかかってたりっていうのがあって、自分たちはそれに賛成した感じですね。だからあれはミックスしてくれた方の案です。

――そうだったんですね。今回は空閑さんのコーラスが印象的です。

空閑:この曲を作る前から、1曲ぐらい自分がメインボーカルくらいがっつり歌うやつ作ろうっていう話を麗さんとしていて。それが今来たかっていう感じでした。

――歌詞には「この街」という言葉がありますが、街のモチーフはあるんですか?

麗:この曲は男女がちょっとドロドロな感じの遠距離恋愛をしてるっていうイメージがあるんですけど、その2人がそれぞれの住んでいる街から逃げ出そうみたいな感じで。なのでどこっていうわけではないんですけど、その男の子と女の子のそれぞれの街っていう感じですかね。男女っていうイメージがはっきりあったから、男役を空閑さんに歌ってもらおうって思って。思ったより空閑さんの声と私の声の相性がいい感じに合わさったので、エモくなってましたね。

――そうだったんですね。チョーキューメイとして掲げている目標はあるんですか?

麗:自分は横浜アリーナでワンマンライブをやるのが目標です。

――どうして横浜アリーナなんですか?

麗:初めて大きい会場でのライブを観に行ったのがRADWIMPSで、それが横アリでやっていたんです。アリーナっていう構造がいいなって思って。あと自分は神奈川県出身なんですけど、やっぱ横浜とか結構好きなので。

空閑:結成当初、最初のレコーディングくらいのときから横アリって半分本気か冗談かっていう感じで言ってて。結局それをみんなで目標として言い続けてますね。

<INTERVIEW:村上麗奈>


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